さらばシーサケットよ!
最近、学生がしきりに職員室に来て、先生方に話しかけてきます。今までは、たびたびしか来ない私のところにも押しかけて来て、「何ですか」と聞くと、どうも試験の結果と今期の評価を知りたいようです。いつも学生には「普段からしっかり、予習復習をやっておけば、100点を取れる問題しか出しません」と言っているのですが、駄目な学生は、自習、復習を殆どしない(優秀な生徒はきちんとやっているが)せいで思ったように日本語が上達しない。「こんなとこ間違っている。この前何度も教えたでしょう」と言うと、「忘れました」としゃあしゃあと答える。酷いのになると、宿題を出すと、友達のを丸写しで、同じ所を同じように間違えて持ってくる。
その時その時を楽しく生きるタイ人の性格をよく現わしています。
急に学校の都合で、期末試験が前倒しで行われつつあり、我々、先生方も試験問題を作るのに、大慌てです。
この予定で行くと、期末試験の採点、今期の評価を終えると、12月最初には、私の役目は終わり、することが無くなってしまうようです。
私の最初の計画は、こちらで、家内を待つてタイ北部へ行く予定でしたが、少し精神的にも疲れてきているようなので、一先ず日本に帰ろうかなと思い浮かべました。既に寒い日本ですから、タイの方が過ごしやすいのですが、何か無性にうまい寿司が食べたくなっています。
そこで「帰国します」と人文社会学部の学部長エムオン先生に話すと、気を使ってくれて、学長から、学部からと記念品を頂き、また、学部のスタッフの皆さんと送別会を開いて頂いた。「必ずまた戻ってください」と念押しもあった。
本当に役に立ったかどうか分からないが、優しく、親切なシーサケットの人々、突き抜けるように澄んだ青空の下の静かな町、学校、同僚のタイ人の日本語学科の先生、怠け者だが、人懐こく、素直で明るい学生達のお蔭で、一応、何の事故もなく無事勤めあげられたと一安心です。
寮でいろいろお世話になったチャールズ夫妻(英語の教師)、韓国人のキム先生、
お隣のノイ先生一家、日本人の同僚のマキ先生、有難うございました。
シーサケット・・・・・・さようなら
別れの前日の朝、誰かが寮の部屋の戸を叩いているのに気が付いて、出てみると、1年生のガオさんと友達が立っており、「つまらないものですが、お礼です」と、しっかりした日本語で話し、スカーフを呉れた。ついジーンと来て涙が出そうになったが、「有難う。明日の試験頑張ってね」と声をかけ、記念写真を撮り、お返しは何もなかったので、日本のきれいな箸袋に入ったお箸をあげた。このシーンだけでも今回の僻地での教師生活が報われた気がしました。
4か月に亘る拙い滞在記にお付き合いいただき有難うございました。
追伸:「そんな時、突然、当学部にビックスキャンダルのニュースが・・・テレビ、警察まで巻き込んで起こった。その話は、帰国してからお話しします。」
(日本タイ教育交流協会理事 廣瀬正和)